南イリノイ大学
助教授
独立研究者 (PI) としてアメリカで内耳有毛細胞研究
ご氏名、ご所属を教えてください
アメリカ・イリノイ州にある、南イリノイ大学医学部で独立研究者(Principal Investigator)として2024年1月から助教授(Assistant professor)として研究室を運営している、三好 拓志です。准教授・教授がテニュア(終身雇用)が認められた職位であるのに対して、助教授はテニュア審査中(テニュアトラック)の段階で、基本的に大学の独立研究職はここから始まります。ただし、テニュアの有無以外に職務内容の違いはなく、助教授・准教授・教授はそれぞれ独立して研究室を運営しています。
ご自身の仕事や研究で心がけておられること
先行研究を良く調べ、「新しい問題提起」「新しい手法」「新しい解法」を盛り込めるように心がけています。たとえば、当研究室では、内耳有毛細胞が音や加速度を検出するために形成する不動毛がどのように発生・維持されるかを研究しています。直近の研究では、「不動毛内におけるタンパク分子の輸送はどのように制御されているのか」という問題を提起し、「生きた有毛細胞の不動毛内における一分子イメージング」という手法を開発、「モータータンパクであるミオシンに対して、薬剤や変異によって意図的に活性化できる仕組みを入れる」という解法が生理的条件下における振る舞いを予測するのに有効であることを示しました。研究室のメンバーに対しても、先行研究の焼き直しではなく、どんな小さなことでもよいので自分自身で考えたことを盛り込むように促しています。
どのような部分に面白さがあると感じますか
自分のライフワークに「人や研究室を育てる」という新しい目標が加わったことです。これまでの研究テーマはすべて自分で計画し実行できる範囲内でした。これからは研究室メンバーに研究テーマを割り振り、必要であれば共同研究を行うなど、自分だけではできなったことができるようになります。また、研究室メンバーがその能力を発揮できるような環境づくりも必要です。まだまだ小さい研究室ですが、地道にメンバーを育てて、自分が予想もしなかった研究を行ってくれる人材を育てることを目標にしています。
あなたの思う京都大学らしさをひとことで表現してください
常に現状を把握し改善する意志を持つこと、だと思います。改善するものは世の中であったり、自分や誰かの人生であったりするかもしれません。うまく行くこともそうでないこともあると思いますし、周囲から良いように受け取られないこともあるかもしれません。私は大学時代に出入りしていた研究室で、「昨日より今日はなにかひとつでも良くしなさい、そうしたらいつかきっとすべてがつながるから」という意味のことを教わりました。そして、頑張りすぎることもあきらめることもなく、「いつもどおり」前進し続けることも重要だと思います。そうしているうちに、京都大学でよく言われる「オリジナリティー」は自然にできてくるのではと思います。
京都大学医学研究科・医学部が125周年を迎えメッセージ
125周年おめでとうございます。京都大学医学研究科・医学部は、最先端の研究者を擁する数少ない大学だと思います。ぜひこれからも国内・海外の研究をリードする存在であってほしいと思います。