京都大学大学院医学研究科 疾患ゲノム疫学 客員研究員
マギル大学 アシスタントプロフェッサー
大規模ヒトゲノムデータとデータサイエンスを用いて糖尿病、肥満、心血管疾患の創薬標的を探求する
どのような部分に面白さがあると感じますか
私にとって研究の面白さは、実際に多くの人の命を救える可能性があることです。私の研究は、大規模ヒトゲノムデータとデータサイエンスを用いて、糖尿病、肥満、心血管疾患の創薬標的を見つけ出すことを目指しています。医師としての経験から、糖尿病、肥満、そしてその合併症である心筋梗塞や末期腎不全といった疾患の深刻さを強く実感しました。私個人が一医師として直接治療できる患者さんの数には限界がありますが、効果的な新薬を開発することで、より多くの人々を救える可能性があります。この点が、私が研究に魅力を感じる理由です。
新薬開発には多額のコストがかかり、失敗率も高いものの、ヒトゲノムのエビデンスに基づく創薬標的は成功率が2-3倍に上昇することが報告されています。このため、近年、ヒトゲノムを活用した創薬への期待が高まっています。
京都大学では、初期研修、糖尿病・内分泌・栄養内科および関連病院での後期研修、さらに京都大学・マギル大学ゲノム国際連携専攻を通じ、医師・研究者として充実したトレーニングを積むことができました。この際の経験を礎に、現在も、最終的に患者さんや臨床に還元できる研究を目指し、研究テーマを設定するよう心がけています。
2024年夏からは、カナダのマギル大学で研究室を主宰しています (https://yoshiji-lab.org/)。大規模ヒトゲノムデータとデータサイエンスを活用して、これらの疾患に対する効果的な薬の開発を目指し、チームと共に取り組んでいます。